学輪IIDA ~地域と大学をむすぶ新しいカタチ~

今年度の共通カリキュラム構築プロジェクトフィールドスタディは「地域文化」を取り上げ、立命館大学、東洋大学、名城大学、和歌山大学、静岡文化芸術大学の5大学、40名の学生と6名の教員の計46名が参加し、8月17日(木)から20日(日)の3泊4日の日程で行われました。

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今回のフィールドスタディでは、地域活性化を考える上で重要な概念である「地域アイデンティティ」を軸に、飯田の人々の地域への愛着や帰属意識を多様な分野から探り、地域活性化を実現するための地域アイデンティティの形成のあり方について、地域にある文化との関係から考えました。
また、「現場での聞き取り調査の時間を多く取り、地域の文化を担う人たちの声をより多く聞くこと」と「学生たちが主体的に考えること」に重点を置き、聞き取り調査とグループでの学生同士でのディスカッションの時間を例年よりも多く取りました。

約2日間にわたる今回のフィールド調査の特徴として、飯田市にある地域文化に係る約30の団体を「人形劇」「公民館から派生した活動」「地域の祭礼」「市民活動」「山間地の暮らし」「産業」の6テーマに分け、グループでテーマを2つ選び、グループでテーマの掛け合わせることにより、地域文化を多面的に理解するように試みました。

最終日には、グループごとで成果の報告会を行いました。例年は、パワーポイントを使って報告をしていましたが、今回は自分たちが見聞きしてきたことを1枚の模造紙にまとめて報告する、「ポスター発表」の形式で行いました。多くの団体の聞き取り調査に加えて、2つのテーマを1枚の模造紙に落とし込む作業に学生の皆さんはとても苦労していましたが、グループごと力を合わせて、それぞれのグループの個性が出たまとめができました。学生たちは様々なことを感じたようでしたが、特に「当事者意識を持って取り組む」「何事も楽しんで活動を行う」飯田市の地域住民の姿に、学生は特に驚き、感動したようでした。

終了後に取ったアンケートからは、「地域のあり方について考えさせられた。自分の地域や自分のアイデンティティについてもちゃんと考えてみようと感じた。人を呼び込む、増やすだけが地域活性化じゃないと感じた。」「他大学の人と関係を作れてとても嬉しかった。他大学の人のすごさ(喋り方やプレゼン、まとめ能力など)を感じられて本当に良かったです。」など、フィールド調査からだけでなく、普段あまり経験しない、他大学の学生とともに活動したことからも、学生の様々な学びを感じることができました。

今回のフィールドスタディでは新たな試みとして、地元の高校生がフィールドスタディに参加し、大学生と一緒に聞き取り調査を行う「高大連携」の取り組みを行いました。

大学からは「地元の高校生の地域に対する生の声を聞くことができて勉強になった」、参加した高校生からは「自分の地元の知らないことを知れて良かった」「地域の方のお話を聞き、今まで地域のマイナスと捉えていたものを、見方を変えてプラスに捉えていくことの大切さを学んだ」「オープンキャンパスに行くよりも、大学生活の様子や大学の学びを直接先生や大学生から聞いたり、体験することができて、とても有意義だった」という意見をいただきました。

また、フィールドスタディ終了後、参加した高校生がフィールドスタディで自分が興味を持った分野について、後日改めて調査を行ったり、自分が課題と捉えたことについて解決のために自ら行動しようと計画を進めたり、という動きが出てきています。
高校生に参加してもらったことで、大学生だけでなく、高校生も得るものが多く、特に高校生には今回の経験を通して、自分の住んでいる地域について考えるきっかけとなったようです。

今年度の共通カリキュラムフィールドスタディも、多くの大学の学生、先生方にご参加、ご協力いただきました。誠にありがとうございました。